令和8年(2026年)を迎え、日本の外国人政策は、「共生」から「秩序ある共生」へと、より実効性を重視した段階へ入りました。
その中心的施策が、令和9年度(2027年度)から施行予定の「育成就労制度」です。これまでの技能実習制度は、「国際貢献」や「技能移転」を掲げながらも、実際には人手不足を補う制度として運用されてきた側面がありました。
新制度では、この構造を見直し、外国人を「一時的労働力」ではなく、「日本社会を共に支える人材」として受け入れていく方向性がより明確になっています。
「育てて定着につなげる」制度へ
育成就労制度の最大の特徴は、「人材育成」と「中長期的な就労」を制度目的として明確に位置付けた点にあります。
従来の技能実習制度では、一定期間の実習後に帰国することが前提とされていました。これに対し、育成就労制度では、育成就労→特定技能1号→特定技能2号へという段階的なキャリア形成を想定して設計されています。
特定技能2号まで進めば、長期在留や家族帯同も可能となるため、日本の外国人政策は、「一時的労働力」から「定着・共生」を前提とした制度へ転換しつつあるといえるでしょう。
また、新制度では、日本語能力の向上も重視されています。認定日本語教育機関等との連携による段階的な教育体制が整備され、日本語教育は単なる補助的支援ではなく、「日本社会で安定して生活・就労するための基盤」として位置付けられる方向となっています。
「転籍」緩和が意味するもの
今回の制度改正で注目されているのが、「転籍(転職)」ルールの見直しです。
従来の技能実習制度では、原則として自己都合による転籍が認められておらず、失踪や人権問題の一因とも指摘されてきました。
新制度では、一定期間の就労や日本語能力等の条件を満たした場合、同一業務区分内での転籍が認められる方向となっています。これにより、外国人本人にとっては、劣悪な就労環境から離脱しやすくなり、キャリア形成の選択肢も広がります。
一方、受入れ企業側には、「選ばれる職場」であることがこれまで以上に求められます。適切な労務管理、日本語支援、相談体制整備などを行わなければ、人材定着が難しくなる時代へ入っていくと考えられます。
「秩序ある共生」の本質とは
政府は2026年、「秩序ある共生」という考え方を打ち出し、外国人支援の充実、日本語教育強化、生活支援整備を進める一方で、納税・社会保険料納付状況確認、在留管理厳格化、不法就労防止なども強化する方向を示しています。
つまり、「支援」と「ルール遵守」の両立によって、持続可能な共生社会を目指していくという考え方です。今後は、「日本社会のルールを守りながら生活・就労すること」が、これまで以上に重要になっていくと考えられます。
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