③ 父母ともに外国籍|日本で子どもが生まれた場合の手続と留意点|【国際家族法務】藤沢市の行政書士

出生後の手続は、市区町村・入管・大使館で相互に関連しているため、順序を誤ると追加資料や在留上の問題につながることがあります。早い段階から専門家へ相談しながら進めることが重要です。

日本で父母ともに外国籍の方の間に子どもが生まれた場合、出生後は「市区町村への届出」「在留資格取得」「本国大使館での登録」など、複数の手続を期限内に進める必要があります。ここでは、父母・市区町村・出入国在留管理庁・在日大使館/領事館・受入機関という関係者ごとに、実務上の流れを整理します。

1.父母が最初に行う手続

(1)病院で出生証明書を受け取る

出産後、病院または助産師から「出生証明書」が交付されます。
この書類は、

  • 市区町村への出生届 
  • 入管への在留資格取得許可申請 
  • 本国大使館への出生登録 

など、すべての基礎資料となります。

(2)14日以内に出生届を提出

日本国内で出生した場合、父母とも外国籍であっても出生届の提出が必要です。

届出期限

出生の日を含め14日以内

届出先

  • 出生地または父母の住所地の市区町村役場 

届出人

  • 父・母(同居者、医師、助産師) 

主な必要書類

  • 出生届書 
  • 医師または助産師作成の出生証明書 
  • 母子健康手帳 

なお、外国籍の子どもについては、日本人のような戸籍は作成されません。

ただし、出生記録は保存され、後の入管申請等で必要となる「出生届受理証明書」を取得できます。また、出生届を期限内に提出しない場合、過料の対象となる可能性があります。

2.市区町村(住民票関係)の手続

出生届が受理されると、外国籍の子どもについても住民票が作成されます。
この住民票は、後の在留資格取得許可申請で必要になります。
ただし、在留資格を取得しないまま出生後60日を経過すると、不法残留状態となる可能性があります。
その場合、出入国在留管理庁から市区町村へ通知が行われ、市区町村長が住民票を職権消除する運用が行われています。
また、在留手続、労働ルール、社会保険、医療、防災情報などをまとめた「生活・就労ガ
イドブック」の整備も進められています。

住民票が消除されることで生じる主な影響

  • 児童手当の停止 
  • 乳幼児医療費助成の停止 
  • 各種行政サービス利用制限 

など
また、後日あらためて在留資格を取得した場合でも、住民票の再登録や転入届が必要となり、経緯確認が厳格に行われることがあります。そのため、出生届後は速やかに入管手続へ進むことが重要です。

3.出入国在留管理庁(入管)の手続

(1)在留資格取得許可申請

父母とも外国籍の場合、子どもは原則として日本国籍を取得しません。
そのため、日本で60日を超えて在留する場合は、「在留資格取得許可申請」が必要になります。

申請期限

出生等の事由発生日から30日以内
(実務上は「出生後速やかに」申請することが重要です)

なお、出生後60日以内に出国する場合は、原則として在留資格取得許可申請は不要です。

(2)申請できる人

新生児本人は手続できないため、通常は父母が法定代理人として申請します。

申請人

新生児本人

実際に申請を行う者

  • 父・母(法定代理人) 
  • 申請取次行政書士 など 

(3)主な必要書類

在留資格取得許可申請では、一般に以下の書類が必要になります。

区分必要書類主な内容・補足
基本書類在留資格取得許可申請書出入国在留管理庁所定様式
出生届受理証明書市区町村役場で取得
世帯全員記載の住民票続柄記載ありのものが一般的
質問書家族関係・扶養状況等を記載
父母関係書類父母のパスポート原本提示または写し提出
父母の在留カード在留資格・在留期限確認用
扶養者関係書類在職証明書主に就労系在留資格の場合
課税証明書扶養能力確認資料
納税証明書納税状況確認資料

※永住者・定住者等では一部省略される場合があります。

子ども関係書類

  • 子どものパスポート 

申請時点で未取得の場合は、

  • パスポート未取得理由書 
  • 大使館の仮登録証明書 

などを提出する運用が行われます。
なお、必要書類は国籍・在留資格・家族構成等によって追加を求められることがあります。

(4)取得する在留資格

子どもの在留資格は、通常、扶養者である父母の在留資格に応じて決まります。

例:
定住者 など 
家族滞在 
永住者の配偶者等 

家族滞在の注意点

「家族滞在」は、扶養者の在留資格に依存する在留資格です。そのため、父母の在留資格によっては、子どもに家族滞在が認められないケースがあります。
代表例が「特定技能1号」です。特定技能1号は、2026年時点でも原則として家族帯同が認められておらず、出生した子どもについても通常の「家族滞在」は付与されません。

4.在日大使館・領事館での手続

子どもの国籍は、父母の本国法に基づいて決まります。そのため、日本の出生届とは別に、本国大使館・領事館で以下の手続が必要になることがあります。

主な手続

  • 出生登録 
  • 国籍取得手続 
  • パスポート申請 

必要書類や期限は国ごとに異なります。また、複数国籍となる場合には、将来的に国籍選択や国籍留保の問題が生じることもあります。

5.受入機関(勤務先・登録支援機関)の注意点

外国人従業員を雇用している企業や登録支援機関にとっても、家族の在留手続は重要です。特に、

  • 技術・人文知識・国際業務 
  • 特定技能 

などでは、出生後の家族滞在に関する相談が発生することがあります。

受入機関としては、

  • 在留資格取得申請が期限内に行われているか 
  • 在留カード取得後の住居地届出が完了しているか 
  • 扶養者側の在留資格変更が必要か 

などを確認することが望まれます。

神奈川県内では、横浜出入国在留管理局管轄となるケースが多く、混雑状況によっては申請取次行政書士を活用することで、手続負担を軽減できる場合があります。

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